「もっとシンプルに」と頼んだのに約束した内容と違う!
ここは映さないでほしいと頼んだものが画面に入っている!!
展示会の事前打ち合わせで使用するのに、仮編集のものさえ間に合わない!
安くないコストをかけ、何度も打ち合わせをして、現場に頼み込んで生産を止めてまで撮影した映像が納得できる内容ではなかった。こんな経験は誰でもしたいものではありません。経験者の失敗談を聞くと「映像制作ってハードルが高いのでは?」などと思ってしまいがちですが、実はそんな失敗を避ける方法があるのです。では、いったいその方法とは何でしょうか?
1.映像制作の会社選びを間違えると大変なことに。
映像を制作する際に起こる失敗の原因のほとんどが制作会社選びにあると言われています。もし依頼する側が映像制作に慣れていなかったとしても、経験の豊富な業者ならきちんとした提案をしてくれます。クライアントとしっかりとコミュニケーションを取れる会社ならば、伝えたいイメージを映像として形にしてくれるはずです。製造業に強い制作会社ならば、工場内の危険個所や撮影NG箇所など、ある程度、撮影側の方でも必要な事項は確認してきます。つまり経験を積んだ対応のしっかりした映像制作会社を選べれば、不要なトラブルは限りなく減少します。会社選びこそが成功への秘訣なのです。
2.まずは何を目的に制作するかを明確にする。
それでは、どんなところに注意して映像制作会社を選べばよいのでしょうか。最初にすべきことは、依頼する前に、制作内容についてしっかり把握することです。用途がはっきりすれば、制作する映像も方向性が固まり、依頼がしやすくなります。それに映像制作会社にも得意・不得意はありますから、内容で選ぶべき会社も変わってきます。また制作会社に丸投げをしてしまうとコストがかかりがちです。依頼前に注意すべきポイントの一つです。
映像の用途は多様化しています。リクルート向けに企業活動をPRするものや、製造物あるいは設備など説明資料的に使う動画などは既に一般的でしょう。また近年、展示会では、動画を積極的に活用する企業も増加しています。展示スペースや予算、人材などの制約がある中で、どれだけ効率的・効果的に運営できるかでイベントの成否が判断されるからです。技能伝承のために製造マニュアル的なものを残す会社も増えてきています。
自分の作りたい映像がどれに当てはまるか、まずは考えてみましょう。使い方がわかればあとはそのイメージを作り込んでいくだけになります。
3.どんな映像を作りたいかイメージを描く、参考となる映像を探す。
先にも書きましたが、映像制作で失敗しないために大切なのは、その映像で何を伝えたいか内容をしっかりと先に固めるということです。
そして注意しなければいけないのは言葉ではなく「映像」で伝える内容であるということです。最終的に「映像」にすればいいと思いがちですが、最初の時点でイメージが絵になっていることが、実は非常に重要なのです。それはなぜでしょうか?
時々イメージと違うビデオが上がってきたなどという話を聞きますが、よくよく聞くと打ち合わせ・依頼の場面で、言葉だけの資料・指示で済ませていたなんてことがあったりします。よくも悪くも言葉にはふくらみがあるものです。自分の意図したところが相手にずれて伝わるということもあります。自分の作りたいものを正確に伝えるには言葉以外のものも必要ですよね?だからこそイメージ作りの作業は欠かせないのです。
では、どうしたらいいのだろうと思われた方に一番簡単な方法を紹介します。参考になる動画をインターネットで探すのです。「この背景の感じがいいな」とか、「商品の取り方がかっこいい」とか、自身の目でみて確認してください。参考になりそうな企業の動画をチェックしていると自分のイメージが固まってくるはずです。
どうしても参考にしたい動画がないという方や誰もやっていないことがやりたいという方は、静止画(写真)やイラストでもOKです。雰囲気だけでも伝わる部分は必ずありますから、なるべく多くの資料を用意しましょう。
4.自社の業界にあった実績を持っているか調べる。
これで事前準備は完了です。あとは依頼する映像制作会社選びに入ります。では、どこをチェックすればよいのでしょうか?
最初にチェックすべきは、自分の業界にあった実績を持っているかどうかです。映像制作会社のホームページに行き、情報を探ってみましょう。過去の作品集あるいは動画集がどこかにあるはずです。その中に自分の会社とマッチングする動画があればまずはOK。中身をじっくりチェックしてみましょう。
もし映像制作会社内のWEBで探せないときは、制作会社の取引先一覧を確認しましょう。その中に自分の会社が属する業界の企業名があれば、もう少し踏み込んで調べる価値はありそうです。名前のあった企業の映像素材をWEBや取引先などから入手し、確認してみるのも手かもしれません。それでも見つからないという場合は、例えば、金属加工会社なら工作機械メーカーや、建設機材であれば自動車・部品メーカーなどというように、隣とも言えませんが関連しそうな業界の映像を制作していないかチェックしてみましょう。他の発見もあるかもしれません。
5.問合せをしてみて対応を見てみる。
過去の経歴を確認したならば実際に問い合わせをしてみましょう。事前に聞いておきたい内容があるのであれば問い合わせの際に同時に投げかけてもよいでしょう。映像は素材を用意する必要があるので、訪問や問い合わせの際に探し出す手間を省くためです。
問い合わせはどうするのがベストでしょうか?
面と向かって話がしたい、イメージが既に固まっているという方は直接お電話をされてもよいのですが、やはり無難なのはメールかホームページからの問い合わせでしょう。やり取りが始まると、やはりメールでのやり取りが多くなると思います。問い合わせの内容程度が正確に把握できないような制作会社であれば、今後の指示内容も届きにくいと考えるのが自然です。あまりにレスポンスが悪いようであれば、そのあとの連絡もルーズで、納期管理も不安になるのは経験則で皆さまご存じだとは思います。きちんとした言葉で、こちらからの問い合わせ内容に反応してくれる会社を見極めるチャンスなので、しっかりと返信内容を読んでください。
専門用語や高度な知識が必要な場合は立ち合い編集ができるかをこの時点で確認するのもよいでしょう。自社スタジオがないなどの理由で断られる場合がごくまれにありますので、問い合わせの際についでに確認しておきましょう。
6.WEBサイトには掲載されていない実績動画を見せてもらう。
通常、制作会社はその実績のすべてをWEBで公開しているわけではありません。古い制作物は当然削除され、新しいもの、プッシュしたいものを公開しているはずです。また長い動画で編集が必要なものは手間がかかるのでプレスした状態(DVDなど)で保管しているかもしれません。なので、自分たちが求めている映像が公開されていないからといって諦める必要はありません。しかし、そういった未公開動画を見せてもらうにはどうしたら良いでしょうか?なにか方法はあるのでしょうか?
まずは、映像制作会社とコンタクトをとり、その際に、映像を制作の意思・予定があることを、はっきりと伝えましょう。これだけでその後の対応が変わるはずです。制作会社からすると制作物のアイディアや内容が盗まれることを一番警戒しています。それに初めて接触を持ってきた人にやすやすと見せるわけにはいかない理由もあります。映像の使用許諾を持っているのはあくまでも制作物の発注者です。勝手に制作会社が外部に公開するわけにはいかない事情がそこには存在します。きちんとした商談である旨伝えるのはビジネスのマナーでもあります。スムーズに進行するためにも意思表示をはっきりしましょう。
7.提案力を確かめる。
いよいよ制作会社の中身の評価です。実績や過去の作品は見ましたが、今の実力を見なければ安心して任せることはできませんよね?どの部分を見て、いい制作会社か判断すべきでしょうか?
やはりそれは提案力になると思います。実際に作ってほしいイメージがあるとして、それを何の制約もなく作ることが可能である場合は稀だと思います。ハリウッド映画ばりのCGをオープニングに使って・・・などというのは時間も予算も足りないでしょうし、機械の中で燃え滾る炎を撮影してほしいといったイレギュラーな要望には特殊な機材を用意する必要があるだろうことは誰しも理解可能です。要求には常に何らかの制約があるはずなのです。だからこそ、その制約を乗り越えるアイディア、ストーリー、提案力を持った企業こそが、素晴らしい会社とされるのです。
現実的な制約、例えば納期が短い、予算がいくらまでしかないなどの条件を正直に話しながら、実現したいイメージをどうすれば映像にできるか話し合うことで、相手の実力が見えてくるはずです。なるほどと思う提案がある企業こそあなたにふさわしいパートナーです。しっかりと話し合いましょう。
8.イメージしている、求めている映像を理解してくれているか?
話し合いの中で、確認したいことがもう一つあります。先ほど用意した参考映像などの資料があるはずです。その資料を元にして、作りたい映像のイメージを制作会社の担当者と確認をしてください。このイメージのすり合わせの作業を怠ると大変なことが起こるかもしれないからです。なぜ資料を渡すだけではいけないのでしょうか?
打ち合わせを行った担当者の肩書はなんでしょうか?ディレクターでしょうか、カメラマンでしょうか、それとも脚本家・ライターでしょうか。
映像制作の仕事は必ず複数の人々で行われます。一人ですべての作業を行うことは不可能に近いからです。担当者は打ち合わせ後に、自社やスタジオに戻り、制作サイドに指示・相談を行います。担当者がきちんとイメージを伝えてくれないことには、制作サイドで作ってくる企画や提案・ラフコンテ(イメージ画)などが全く違うものにもなりかねません。資料の大事な部分を見落としてしまい、必要なものがごそっと抜けているかもしれません。それを防ぐためにも、目の前の担当者にきちんと理解させる必要があるのです。担当者とのこのイメージのすり合わせがうまく行けば、よほどのことがない限り、大きなはずれはなくなります。絶対に省いてはいけない工程です。
9.見積書の内容を確認してみる。
イメージも固まり、あとは制作に入りますが、その前に確認すべきなのはコストですよね。事前にコストが明示されている場合を除き、要望を伝えた時点で見積書を依頼すると思います。その際に見ておくべき部分は、いくつかあります。映像制作の場合、何らかの提出物があることにコストがかかることが多いのですが、最近ではフリーになっているものもあります。例えば、発注未確定時の企画案が無料になる会社や、シナリオの書き直し制限なしといったサービスや、試写後の直し2回までOKなどといった項目がある会社も増えています。各社特徴があるかと思いますので、比較してみるのがよいでしょう。
後々、問題になりがちなのが、追加費用の部分。撮影カット数が増えたり、映像の尺(長さ)が伸びてしまったりといったときにどうなるのか。見積もりに載っていない項目も確認しておくべきでしょう。映像制作はどうしても予定外の出来事が起こりやすく当初想定していない金額になる場合がありますので、慎重に検討すべき事項です。
10.納期、支払い期日を確認してみる。
納期も追加費用についでトラブルになりがちな部分です。映像制作では、撮影がないケース、素材を編集して行う映像であれば予定より大幅に遅れることはないのですが、撮影が絡むと途端にスケジュールが守れなくなることがあります。もちろん事前に組んだスケジュール自体に無理がある場合もなくはないのですが、天候などの自然条件や許認可の問題など想定外の部分で遅れが生じることが時折発生するからです。その遅れを取り戻すのはなかなか難しいことが多く、最終的に使用すべき重要な場面、展示会などに間に合わないなどという大問題が起こるということにつながってきます。では、それを避けるにはどうしたらいいのでしょうか?
まず、無理なスケジュールは組まないということです。制作業者との話し合いでスケジュール管理が緩いな、もしくはギリギリ過ぎて不安だなと感じた場合は、必ず指摘しましょう。少し余裕があるくらいのスケジュールの方が安心なこともあります。途中にチェックポイントを設けることでも進行の遅れを防ぐことができます。担当者との間で中間確認を取るようにしましょう。こういった事柄にも気持ちよく対応してくれる制作会社にはミスが少ないはずです。
最後に支払い期日。前払いを要求されることは少なくなっているとは思いますが、全額支払いを撮影前に要求するような業者には注意が必要かもしれません。編集を完了せずに逃げてしまう業者が完全にいなくなったわけではありません。支払い方法とともに期日の確認は欠かせません。また映像が完成していなくても撮影時から30日後に全額支払いなどが取引条件に盛り込まれているケースもあります。よく見積書等を確認して、事前に担当者と確認をしておいてください。
以上の点に注意して、映像制作会社を選び、進行すれば、まず間違いのない動画が作成されるはずです。しっかりとチェックしながら進めてみましょう。