展示会で来場者に映像を見てもらった後にやるべきこと

製造業の展示会は、動画を見てもらって終わりではありません。せっかく設けられたフェイス・トゥ・フェイスの場ですから、商談から成約まで望みたいところです。つまり見終わってからが勝負。最悪でも次回アポを取り付けたいものです。

もちろん、時間の限られた展示会では、ただ認知してもらえば十分という、薄い接客で対応するのもアリです。動画を見てもらい、覚えてもらって、あとはスルー。これは営業マンがいなくても成立する映像展示の使い方です。
一方で、十分なマンパワーを持っているなら、薄い接客を多数にするより、密度濃い接客を少数とするのがオススメです。なにしろ、動画を閲覧し終わって高い興味・関心を持った潜在顧客が、いま目の前にいるのです。このチャンスを活かさない手はありません。商談への誘導をスムーズにするには、相手が喜ぶことをセットで行なうのが効果的です。

 

VIP来場者が喜ぶこと

相手の身になって考えるなら、「座らせてあげる」というアイデアが挙げられます。なぜなら、来場客は意外と疲れ切っているからです。
慣れない場所に来て、朝10時から夕方まで歩き通し。日々の外回りで鍛え上げた営業マンは、自分自身が平気なので気にしないかもしれません。しかし、いつも椅子に座って書類仕事をしている人は、ヘトヘトに疲れてしまうのです。更に付け加えるなら、若くて元気に歩いている人より、疲れ切っている人の方が会社での地位は上という可能性があります。想像をたくましくすれば、いま売っている製品の注文書にハンコを捺すVIPかもしれないのです。

 

座らせてスムーズに

ゆっくり座って動画を見てもらえるように、あらかじめソファなど座り心地の良い閲覧席を用意しておくのがベスト。スペースの都合で難しい場合は、見てもらっている最中に椅子を差し出して「お疲れでしょう、お座りください」と促します。飲み物やお菓子を用意しておくのも良い作戦です。
そして、そのまま着座接客へとつなげれば一石二鳥でしょう。

 

展示会で来場者が嫌がるタブー

せっかく動画を見て興味を持ってくれたのに、その後に続く接客で失敗しては意味がありません。嫌われでもしたら、むしろ逆効果になってしまいます。

 

見た目で判断する

展示会は一期一会。初対面である相手の正体は分かりません。ですから「だろう」ではなく、「かもしれない接客」が肝要です。
製造業の最先端技術を紹介する展示会では、カタカナの専門用語も飛び交い、ついつい話が通じやすい現役若手と話して込んでしまうこともあるでしょう。しかしその状況に、いつもは「社長!社長!」と、かしずかれている人が、違和感を覚えているかもしれません。最先端のテクノロジーを理解しないおじいちゃん扱いされた、無視されていると感じれば、不快に思うのも当然です。
また、奥様がご一緒の場合も同様です。もし嫌われれば「私あの会社イヤだわ」の一言で、大事な商談を潰されかねません。少なくとも会話中に視線と笑顔を送り、無視していませんよというサインを送るべきでしょう。
いずれにしろ、相手も歴戦の強者(つわもの)です。とぼけているだけか、本当に分かっていないのか、その判断はファーストインプレッションより、場数と経験が物を言います。かっぷく良く見えた紳士が実はただの通行人だったり、長々と無駄話に付き合わされたりしては目も当てられません。見た目での判断は禁物です。

 

引き止めすぎ

多くの来場者は展示会場の全てを見たいと思っています。そのために、わざわざ遠くから来た人もいるのですから、当然の権利だと言えるでしょう。
開催時間を会場のブース数で割れば、来場者が自分たちに割ける時間が分かります。逆に予想立ち寄り数を接客マンパワーで割れば、自分たちが1人の来場者に割くべき時間も分かるでしょう。無理に引き止めて嫌われたり、他の優良見込み客を逃しては結果的に大きな損失です。これは難しいと感じたら、後述するプランB「再来を促す」方法も検討してみてください。

 

映像展示とセットで準備すべき営業ツール

ツールとして映像展示を使ったことで、接客に必要な営業ツールも変化します。必要になるものと、逆に不要になるものがありますので確認しておきます。

 

商談スペースの設置と確認

営業ツールとしての商談スペース、舞台装置は想像以上に重要です。これは会社訪問時を例にとれば納得いくと思います。応接室で丁寧に対応されれば本気度が伝わるでしょう。しかし逆に、店頭の立ち話で済まされたら、取引しようという気持ちが盛り上がりません。本気の商談になった場合にふさわしい場所があるか、ブース内に設置するか共用スペースで済ませるかなど、事前の準備と確認が必要です。

 

動画のコピー

興味を持ってくれた来場者にディスクを手渡し、会社に戻ってから見返してもらったり、同僚や上司に回覧されることを期待します。それなりのコストがかかりますので、来場者全員分を用意する必要はありませんが、これはと思った人に渡し損ねないよう、十分な数を準備しましょう。

 

チラシ・パンフレット

既に映像展示でアピールポイントを把握している人に、改めて「会社概要」を渡しても、あまり意味がありません。ここでは、展示会用にカスタマイズされたスペシャルなチラシを用意するべきです。即日で商談成立する商品なら仮注文書、難しいならせめて相談申込書を兼用したチラシを準備しましょう。その場で相談日を決めてもらい、次回のアポを取るのです。

 

受注セット

業務上、申込書以外に必要なものがあれば用意します。朱肉等から正規の契約書まで、何としても受注に結びつけるという、気合のこもった準備をしましょう。

 

動画再生後のアプローチ

見てくれた人の性格は様々、映像展示も十社十色です。一概にベストな方法があるとは限りませんが、ここでは一般的な基本と、動画ならではのポイントを押さえておきます。

 

短い導入

動画を見てくれた来場者には、質問から入るのが基本です。
しかし「いかがでしたか」など、何とでも答えられる質問をすると、言葉に詰まったり「あぁ…うん…」で終わってしまう可能性が高くなります。
まずは声を出してもらいたいので「疑問に感じた部分はございましたか」など、最悪「はい/いいえ」で答えても問題ないことを聞くと良いでしょう
「いいや特にない」と返って来たら、満面の笑みで「全てご納得ですね!今日ご発注ですか!」と、笑いを誘って緊張感を解く。「あった」と来たら、「どのあたりですか」から話をふくらませる。いずれにしろ展示会での接客は、非常に限られた時間で行ないますから、導入は短くして本題に誘導します。

 

早い本題

よくシナリオが練られた映像展示なら、既に情報は正しく伝わっています。動画の役割、つまり通路を足早に進む来場者をストップさせ、前フリをするという前段ステージは終わっているわけです。ここで「詳しいご説明を」などと語りだすのは蛇足というもの。ボールは情報を受け取った相手側にあります。来場者が話しだしたら、口をつぐんで傾聴しましょう。
また、展示会ではなるべく早く本題に入るのが、お互いにとって効率的です。意識的にビジネスライク寄りにしましょう。限られた数分で個人的な信頼関係を築くのはまず無理ですが、少なくとも企業としての信頼は、映像展示が与えてくれたはずなのですから。

 

今日中の次回面談を探る

密度の濃い接客を計画した場合は、基本的に展示会で商談を済ますことが大目標です。せっかく同じ展示会で出会えたのに、そのまま帰らせてしまっては大きな失敗ですし、自分も先方も非効率的でしょう。後日フォローして改めてアポを取るより、次回面談は明らかに「今日」行なうのがベストなのです。

 

再来を促す仕組み

どれだけ上手にアプローチしても、すぐブースを去ってしまうことは起きえます。例えば、会場レイアウトの都合で入り口に近いブースは、来場者もまだ見たいものがたくさんあるため、サーッと通り過ぎがちです。確かにまず一周してみたいのは当然でしょう。これを無理に引き止めると印象が悪いですから、スマートに再来を促す仕組みを用意しておくべきです。

・何時までやってます
・何時頃は空くのでまたお越しください
・何時何分から特別動画の上映があります

などと時間を指定されると、何となくアポを取られた気になるもの。もちろん前提として、全てのブースを見た後で来てくれるという、自信があればこそですが、実際に来てくれた人は本当に興味があるということです。もしかすると、夕方特有の撤収ムードが漂い、すっかり静かになった会場で、じっくり話し込めるチャンスになるかもしれません。本日最後の仕上げとまいりましょう。

 

まとめ

映像展示をツールとして使った場合、足止めさせ概要説明を行なうという営業の前段は既に終わっています。そのため待機している営業スタッフは密度の濃い接客に集中でき、短い時間で成約まで持っていく可能性も高まるのです。展示会で動画を使うことの、大きなメリットにお気付きいただけたでしょうか。

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