展示会に最適な動画の尺は何分か?

ここ数年で、展示会や説明会などの各社のブースで、動画を上映している企業が増えてきました。展示会用の動画には、どのような種類のものがあるのでしょうか。また、動画を上映することによって、どのような効果が得られるのでしょうか。適切な動画の尺や、ここでは目的別の動画の種類について、解説します。

 

動画の尺とは?

ここでいう「動画の尺」とは、一般的には動画の長さのことです。かつての日本では、映画館で上映するフィルムの単位は、一尺二尺と、長さで数えられていたという説もありますが、正確な由来は定かではありません。現代で「動画の尺」という言い方をする場合、それは具体的な数値の単位ではなく、「尺が長い」「尺が短い」「尺をもっと詰めよう」などの、だいたいの動画の長さのことを指します。

 

展示会での来場者の平均滞在時間は?

展示会で、来場者の滞在時間は、平均3~4時間といわれています。仮に、たっぷり4時間かけて展示会を回ったとしても、20のブースを見たとして、1ブースあたりに費やされる滞在時間は、12分という計算になります。実際の展示会では、もっと出店数が多い場合もありますし、興味のあるブースで話を聞けば、残りのブースに滞在する時間は更に短くなります。

 

来場者は1ブースで何分立ち止まるのか?

来場者が展示会のブースを、なんとなく眺めながら通り過ぎるとき、かなりゆっくり歩いたとしても、展示が視界に入っている時間は10秒程度です。もし、人目を引くようなインパクトのある動画が、そこで流れていたとしたら、人は一旦足を止めます。立ち止まってしまえば、再び歩き出すまでの数秒間で、展示をしているほうから声をかけることもできますし、リーフレットやノベルティを手渡すこともできます。

 

人が興味を持って見ることが出来るのは一体何秒?

テレビのコマーシャルの場合

テレビのコマーシャルの尺は、15秒、30秒、60秒のものがほとんどです。昔は60秒のコマーシャルもそれなりに流れていたのですが、いまでは特別提供番組でもない限り、60秒のコマーシャルはほとんど見かけません。広告費が削減されているという理由もありますが、現代人は忙しく、コマーシャルのあいだゆっくりテレビの前に座っているわけではありません。番組を録画しているのであれば、コマーシャルはスキップして再生してしまいます。そのために、現代では15秒のコマーシャルが主流となってきました。

 

15秒、30秒、60秒のコマーシャルの例

TOYOTA GAZOO Racing 接触篇 15秒

 

新世代メルセデス┃30秒CM

 

TOTO CM 「ネオレスト」60秒CM

 

短くなる動画の傾向

インターネットの動画では、更に尺が短くなり、インスタグラムビデオなどの15秒動画、Vineなどの6秒動画など、かなり短い動画が流行しました。一瞬で見て、理解できる動画が求められ、時代を追うごとに短くなっていく傾向にあります。

 

インスタグラムビデオ 15秒動画の例

muji_global自分でつくる ガトーショコラ

https://www.instagram.com/p/BBYjZZExQLM/

 

集中力の持続時間

マイクロソフトの研究結果では、スマートフォンが登場した年代から、人々の集中力が持続する時間が「平均12秒から8秒まで減少した」とされています。これは、一般的なテレビコマーシャルよりも短い時間です。すなわち、人目を引く動画を作るには、わずか数秒間で関心を持ってもらう必要があります。10秒に満たない動画を投稿するサイトが流行したのも、このような背景があることが考えられます。

情報過多の現代ですので、必要のない情報、過剰な情報を切り捨てていくように、人々の思考パターンが変化しているのです。

 

展示会用動画に適切な長さとは

ただ、展示会の動画の場合は必ずしも、短ければ短いほど良いというわけではなく、「なんの目的で動画を流すのか」が重要になってきます。

「立ち止まってもらうこと」が目的の動画なら、映画の予告編に使われるような派手なサウンドエフェクトを使い、キャッチーなモーション動画などを流すのが効果的です。この場合は、15秒や30秒の動画でも充分でしょう。

「商談中になんとなく視界に入る」ことを目的とする動画も考えられます。うるさくならない程度の音楽と、キーワードを盛り込んだ、落ち着いた声のナレーションで、来場者に無意識に、企業イメージを植え付けることが可能です。この場合はあまり短い時間でループ再生すると、気が散るために逆効果になってしまいますので、最低でも60秒はあった方がいいでしょう。30秒程度の動画を数パターン流す、という手もあります。

「製品やサービスを知ってもらう」ための動画なら、更に長い尺が必要となります。一旦興味を持ってくれた来場者に、さらに詳しい業務内容を説明するための動画です。しかし、展示会という場の都合上、一つのブースに何10分もかけるわけにはいきませんから、3分から10分程度に絞った方がよいと思われます。

また、業種によっても動画の尺は変わってきます。例えば、製造業や小売業の展示会動画は、工場の様子や商品の紹介などの動画が多い傾向にあり、説明を多く必要とするために、5分前後の長めの動画を流していることが多いようです。

サービス業などでは、イメージビデオのような映像になることも多いため、テレビCMのような短めの動画も多くなってきます。

もちろん、製造業でも短い紹介動画、サービス業でも長い動画を流す企業もありますので、必ずしも上記の限りではありません。

 

ディザー動画という手法

広告映像には「ディザー動画」というものがあります。ティザーとは、あえて全てを明らかにせず、視聴者に興味をもってもらう手法です。最近は、新製品や新サービスなどのテレビコマーシャルでも、ティザー動画が増えてきました。

「コマーシャルを見ても、なんの商品の紹介なのかわからない」「サービス名だけは表示されたけど具体的なことがわからない」といったコマーシャルを見たことがあるでしょうか。あれがティザー動画です。

人は、理解できそうで理解できないことに興味を示す傾向にあります。あえて詳細を全て明らかにせず、記憶のどこかにひっかかるようにしておくのです。

そういった効果を狙うための、ティザー動画を展示会で流す場合には、長い時間は必要ありません。短く中途半端な情報を見た来場者が、詳細を知りたくなり、資料や説明を求めれば成功です。

 

ティザー動画の例

【泣けるCM】60秒の感動ストーリー ティザーCM(近日公開Ver.)

 

展示会で使われる動画の平均の尺

展示会で一般的に使われている動画の長さはどのくらいでしょうか。動画サイトで「展示会用動画」というタイトルで検索し、表示された上位50件の平均は3分53秒でした。(明らかに展示会動画と違っていたものは省いています)

ただし、あくまで平均ですのでばらつきがあります。最短の動画は31秒、最長の動画は22分41秒でした。業種や映像を作る目的によって、動画の尺が使い分けられていると考えて良いでしょう。

 

実際に展示会で使用されている動画事例

実際の展示会用の動画を、ご紹介します。

 

超精密板金の葉山工業|展示会用動画

工場での作業風景を流している、3分42秒の動画です。

 

CL / 日本フルハーフ 株式会社様 展示会用動画

企業の沿革などをBGMとともに流す、イメージビデオのようなつくりの展示会用動画です。後半は開発者のインタビューとなっています。

 

スライド手帳 展示会用動画

30秒の動画ですが、15秒の動画を2回くりかえしてあります。短い尺の中で、商品の概要を端的に解説している動画に仕上がっています。

 

まとめ

なんのために展示会で動画を流すのか、と考えたときに、当たり前のことですが「集客のため」に流している企業がほとんどです。

そこを更に突き詰めて考え、「集客のために立ち止まってもらう」のか、「企業イメージを植え付けたい」のか、「商品やサービスを詳しく知ってもらいたい」のかを明確にしましょう。

そうすれば、展示会用の動画を発注する際に、どの程度の尺で制作すればよいのかが、はっきりし、更に高い効果が見込めることでしょう。

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